東北大学の約13,000人を対象にした研究で興味深い記事がありました。具体的には、柑橘類を食べる頻度が「週に2回以下」の人に比べて、「週に3~4回」食べる人では、認知症を発症するリスクが8%低下、「ほぼ毎日食べている」人では14%も低下していたそうです。柑橘類のどのような成分が認知症予防に効果があるのかを見てみると、近年になってメディアなどでも注目されている柑橘フラボノイド(ポリフェノールの一種)の「ノビレチン」の作用が働いているというものです。この「ノビレチン」には、抗酸化作用、抗糖化作用、抗炎症作用があることが知られており、認知症を引き起こすような脳の神経変性の疾患に対して、予防や改善の効果を期待できることが、さまざまな論文で報告されています。ちょうど、身の回りに《みかん》を良く見かける時期になってきましたね。
沖縄県に住み人は認知症になりにくい?!
柑橘類のなかでもノビレチンの合有量が多いのは、沖縄県北部の長寿村として知られる大宜味村特産の「シークワーサー」のようです。同じ柑橘系の温州ミカンに比べて、10倍から20倍のノビレチンが含まれています。実は、沖縄県では認知症の発症率が、他県に比べて低いことが知られています。その理由の一つがシークワーサーなのではないか、ということで、さまざまな研究が進められてきたのです。
ノビレチンに関する研究は着実に進んでおり、アルツハイマーを発症するよう遺伝子操作したマウスを使った動物実験では、マウスにノビレチンを投与することで認知症発症の要因の一つとされている《アミロイドβ》の書積が抑制されることが分かっています。
柑橘類が及ぼす認知症発症の抑制効果
前述した《アミロイドβ》の抑制に加え、さらに近年では、新しい研究結果が次々に発表されてきました。新しい研究成果の一つは、ノビレチンに神経細胞の突起を増やす効果があるというものです。PC12細胞の神経突起が伸びて活性化するという結果が出ました。要約すると、脳の神経細胞というのは、それぞれが単独で存在してもほとんど意味がなく、神経細胞から伸びた突起が、別の神経細胞と接続してネットワークを増やすことが大切なのです。ネットワークが密になれば、それだけ多くの情報をやり取りすることができます。柑橘類を食べることで、神経細胞が増え、密になることで、結果的に認知症予防に繋がるようです。私は名古屋在住なので、なかなか街中でシークワーサーは見かけないですが、みかんを積極的に食べていきたいと思います。1日1みかん!🍊